地球環境を良くするためには発電について考えることが非常に重要です。今回からは数回にわたって注目度の高い太陽電池について書いていけたらと思います。
第1回は太陽電池にはどんな種類があるのかについてです。それぞれの特徴も一緒に見ていきましょう。
太陽電池の種類
シリコン系
現在、一般に流通している太陽電池に多結晶シリコン、単結晶シリコンがあります。
こっちが多結晶シリコンで
こっちが単結晶シリコン。
見ればわかるかと思いますが、多結晶の方はキラキラしていますよね。
それに対して、単結晶シリコンは一様に真っ黒。
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20040217/pr20040217.html
こんな感じに結晶の並び方が異なっています。感覚的に単結晶の方がスムーズに電気が流れそうですよね。その感覚はおおむね間違っていません。単結晶シリコンの方が発電効率がいいです。
ただ、こんなにきれいな結晶をたくさん作るとなると、やはりコストがかかります。最近はかなり安くなりましたけどね。
発電効率は単結晶がおよそ20%前後、単結晶が15%前後が最高です。
このほかにもアモルファスなどもありますが、家庭で発電するためのものはほとんどが上の二つです。
化合物系
化合物系と呼ばれるものもここ数年で一気に増えてきました。正直、詳しく書いても意味が分からんという人が多いと思うので名前と効率と特徴だけまとめておきます。
CIS・CIGS
12%前後 低コスト
CaTe
10%前後 海外では普及し始めているらしい
GaAs
25%前後 高コスト
有名どころはこんな感じです。
有機系
有機太陽電池というものがここ数年研究され続けています。色素増感太陽電池という名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
有機系の太陽電池は圧倒的に低コストですが、効率がとても低く、まだまだ実用化には程遠いという感じです。
太陽電池の問題点
太陽電池だけで電力を賄う……
効率がかなり上がっていることを考えると、太陽電池だけで日本の電気を賄えてしまうのでは? と思う人がいるかもしれません。
実際計算すると、およそ静岡県全域を太陽電池で覆ってしまえば日本の年間消費分の電気を生み出せそうです。
この数値はあくまでも理想的な設置などの条件付きですから、家の屋根にとかではないです。天候にも左右されますし、様々な問題が起きます。なので実際はもっと余裕を持たないと日本の消費分に合わないでしょう。
そんなとんでもない範囲の太陽電池システム、いったいいくらかかるんだよといった感じです。
やっぱり高い
高いイメージがありますが、昔と比べればかなり安くなりました。10年間で半額近くまで下がったのですから。
それでも、1kW当たり、35万円以上かかるのが現状です。
1kWはだいたい、フルパワーのエアコンの消費電力ぐらいだそうです。今現在の電気料金を考えると、1か月あたり900円ぐらいでしょうか。そのぐらいです。
安くなったからと言って手が出せるかと言われれば……
個人的に今後の天候問題もかなり関係してくるかと
ここ数年、台風などの異常気象が連続しています。過去に台風について詳しく書いたのでよければこちらも
まず、台風で何が起こるか考えることにしましょう。台風で強風が吹くと太陽電池が飛ぶことがあるかもしれません。さすがに頑丈なのでそんなことはなかったとしても何かが飛んできて破損することだってあり得ます。今後、台風は強くなる一方だと予想されるので破損リスクはおそらく上がるでしょう。
高温や低温、大雨なども結構な問題です。そもそも太陽電池は温度によって取り出せる電気の量が変わりますし、大雨などで土台が破損するなんてこともあるでしょう。洪水などの影響も電気系に大きな影響を与えるので地面に置いてる太陽電池もやはり破損リスクがあります。
異常気象を考えると、今後破損のリスクは高くなるのではないかと思います。
コスト的な問題
現在、様々な種類の太陽電池があるとお伝えしました。今後もよりたくさんの種類や改良版が世に出るでしょう。
しかし、それを一般に流通させれるかという問題があります。現状、日本はほとんどの太陽電池がシリコン系です。新しいものができてもすぐに工場を変えることはできないため、確実に大量生産には時間がかかります。それを考えたうえで、企業が新しい太陽電池を採用するかという話です。ぶっちゃけ、今の太陽電池でも十分売れているのだから工場を建てるコスト、実際に売れるかどうか、長年のノウハウがなくなるということを考えると新しいものを作らない方が賢明であると考える企業がほとんどではないかと思います。
そのため、今後改善されるにしてもシリコン系が主になります。ただ、もう改善できることはしつくした感があり、横ばいになるような気がします。
蓄電池の問題
これについてはのちのち別の記事に書こうかと思いますが、蓄電池が高いです。ただ、太陽電池で生み出した電気を夜にも使うためには蓄電池が必ず必要です。これが今一番解決すべき問題だと僕は思います。
処理の問題
太陽電池は結構処理が難しいそうです。不法投棄などがたまに話題に上がります。しかも、耐久も異常気象がさらにひどくなればもっと悪くなるに違いありませんし……
京セラはかなり高耐久な製品を出していますが、売れまくった時代があればいつか壊れまくる時代も来ると思います。すでに30年近くたったものが20%ほどしか効率が落ちていないというのはすさまじいことですがね。
他の企業はどうなのか調べたことがありませんが、京セラと同程度かそれ以下であると予想します。
太陽電池に頼るのは今のところきつい
ここまでの話を考えると、太陽電池で何とかなるわけないということがお分かりいただけたかと思います。本気で太陽電池発電所を作りまくって賄おうとすると、生産コストや維持コストがとんでもなくかかるのがわかります。
もちろん、太陽電池にはいいところもあります。二酸化炭素を出さない、屋根の上に取り付けるだけ。
僕自身、太陽電池には可能性を感じていますし、だから高校の時に熱心に調べたわけですが、太陽電池だけでどうにかなる問題じゃないです。
そもそも、太陽電池を大量に作るためには電気がたくさん必要です。結局、その電気は……
おわりに
お気づきの方も多いかと思いますが、このシリーズは自然エネルギーの問題点を書いていくシリーズです。もちろん、いいところもたくさんありますが、悪いところが話題にならないのはおかしいと僕は思うんです。
いろいろなことを考えたうえで火力発電ってどうなの? 原子力発電ってどうなの? と考えるきっかけになればと思います。
ちなみに僕は 火力発電も原子力発電も今はするべきだと考えています。この話はこのシリーズの最終回で。
次回予告
さて、次回なんですが、風力発電について書いていこうかなと思ってます。風力発電は僕が1年間大真面目に研究していたテーマなので問題点がたくさん書けるかなと(笑)