暑い夏、残暑、そんなときの飲み物といえばやはりビールでしょ! 暑い夏に冷たい缶ビールを飲むと最高ですよね。生き返る〜〜って感じで。
冬の飲み物といえばコーヒーでしょ! 寒い冬に温かい缶コーヒーを飲むと心も体もポカポカになりますよね。
と、ここでふと思うわけです。なんで缶ビールはアルミ缶で缶コーヒーはスチール缶なんだろうと。企業にしてみればどちらか一つに絞った方がコストがかからないだろうになんでわざわざ使い分けるんだろうと。今日はそんな不思議なアルミ缶とスチール缶のお話です。
何がアルミ缶?何がスチール缶?
とりあえず、どんなものがアルミ缶でどんなものがスチール缶なのか考えてみましょう!
アルミ缶
- ビール
- サイダー
- コーラ
スチール缶
- コーヒー
- ジュース
ざっと思いつくのはこんな感じでしょうか。イメージ的には炭酸はアルミ缶、他はスチール缶といった感じですかね? ここから色々考えていきましょう!
アルミ缶の特徴
アルミ缶の特徴を考えてみましょう!といってもアルミ缶というより素材であるアルミニウムについて考えていきたいと思います!
熱が即座に伝わる
アルミといえば、ひんやりしたイメージが強いんじゃないでしょうか?
アルミは金銀銅には劣りますが、非常に熱伝導率が高いです。熱伝導率というのは高ければ高いほど熱が移動しやすいというものです。簡単に言えば、高ければ高いほど熱しやすく冷めやすいという感じです。
錆びない
アルミホイルが錆びているのを見たことがありますか?おそらくないはずです。アルミニウムが錆びるということはほぼないといっていいでしょう。正確にいうと腐食するほど錆びることはそうそうないということです。これはアルミニウムが空気中で金属表面に酸化皮膜を生成するためです。簡単に言えば、アルミニウムは空気中で薄い膜を自分に貼って、空気と触れないようにしてるという感じでしょうか。
軽い
アルミニウムは非常に軽いです。金属としてはかなり軽い部類です。みなさんが思い浮かべる金属はほぼ全てアルミニウムより重いです。カリウムやスカンジウムなどのおそらく馴染みのない金属はアルミニウムより軽いですが、鉄や金銀などと比べれば圧倒的に軽いです。鉄と比べると1/3程度の密度しか持ちません。
リサイクル効率がいい
アルミは原料から生産するととんでもないエネルギーを使います。それに対してリサイクルの場合90%~95%ほどエネルギーを節約できます。環境にとっても優しいというわけです。
変形しやすい
アルミ缶を捨てるときに潰して捨てる人多いと思います。あれはアルミニウムがやわらかいからできることです。そのためアルミニウムは比較的簡単に色々な形にすることができます。やわらかいということは裏を返せば、変形しやすく、形を保ちにくいというデメリットでもあります。
スチール缶の特徴
さて、次はスチールについてみていきましょう!ここからはアルミと比べて書いていきますね。
頑丈
触った感じで分かるかと思いますが、アルミ缶と比べると明らかに硬いです。つぶすのもかなり難しいですよね。裏を返せば変形させにくいとも取れます。
熱が伝わりにくい
熱伝導率があまり高くないため即座に熱が伝わるということはないです。つまり、温めにくく、冷めにくいということです。
錆びやすい
古いスチール缶って案外錆びてますよね。特に削れていたりするとすぐに錆びてしまいます。
どうして使い分けするの?
ここまでの特徴を考えるとアルミ缶のほうが圧倒的に缶としていいように感じるかと思います。しかし、そこそこ大きな問題があるんです。
殺菌という問題
殺菌が実はこの使い分けに大きな影響を与えています。殺菌といえば加熱殺菌がすぐに思いつくかと思います。実際、缶飲料はほとんどが加熱による殺菌をしています。
実はこの加熱殺菌が大きな問題になっています。水は加熱すると膨張してしまいます。そのため、缶の中の圧力は跳ね上がります。そのため、加熱した際には缶にかなり力がかかっていることになります。
さて、ここでアルミ缶とスチール缶の性質を考えてみましょう。スチール缶の場合、加熱により強い力がかかったとしてもそれほど大きく変形はしないはずです。しかしながら、アルミ缶の場合はどうでしょうか。変形しやすいためすぐに変形してしまう可能性が高く、破損すると考えられます。そういったこともあり、加熱殺菌をするときにはスチール缶のほうが有利といえます。
加熱殺菌しなくてもいいものがある
さて、上の説明だけだとアルミ缶は使い物にならないのじゃないかという風に感じる人もいるでしょう。実は炭酸飲料例外なんです。ミルクやコーヒーといったものは極めて高温で処理するためアルミ缶で提供することは難しいのですが、炭酸飲料はそれほど徹底的な殺菌が必要ではないそうです。これは炭酸飲料が酸性であるということで微生物が生存しにくい環境になっているからだそうです。
問題は殺菌だけではない
殺菌だけが問題ではありません。アルミ缶はとにかく変形しやすいです。そのため、落としたりするとすぐに破損してしまう恐れがあります。そのため、普通はスチール缶のほうが有利でしょう。ただ、それでもアルミ缶が使えるのには理由があります。
炭酸といえば開けた瞬間プシュっと音を立てますよね。あれがポイントなのです。炭酸飲料は二酸化炭素により内圧が大気圧よりも高い状態になっています。この内圧により、強度を保つことができるのです。加熱殺菌の時ほど内圧が強くなりすぎないため、変形して破損することもありません。こういった理由でアルミ缶で提供することができるんです。
実際どっちがいいの?
個人的にはアルミ缶のほうが使いたいかなと思います。上で説明したようにアルミ缶は変形しやすいという特性上、スチール缶よりも簡単に扱うことはできません。ただ、使えるとたくさんの恩恵を受ける頃ができます。
まずは冷やしやすいということです。ものを温めるよりも冷やすほうが圧倒的にたくさんのエネルギーを必要とします。自動販売機の電力を少しでも抑えるために冷えやすいほうがいいに決まっています。温かい飲み物はゆっくり飲む人が多いかと思いますが、冷たい飲み物をゆっくり飲むという人はそんなにいないかなと思います。そのため、外の熱がすぐに伝わってぬるくなるとしてもそこまで問題はないかと思います。たいていの場合はぬるくなる前に飲み切っていると思いますので。温かい飲み物はゆっくり飲みたいのですぐにぬるくならないスチールのほうがいいですがね。
環境保護のためにもアルミ缶のほうがリサイクルの恩恵を受けやすいのでアルミ缶のほうがいいですよね。
運送的にも軽いほうがいいに決まっているのでやはりアルミ缶のほうがいいです。
このような理由から企業が様々な改良を行い、今では菌が入らないような環境で製造できるようにしたり、窒素を充填させることで缶の強度をある一定の水準にしたりしています。そのため、実は最近アルミ缶のコーヒーなどが出てきたりしています。企業努力の技術者さんって本当にすごいですね……
まとめ
アルミ缶は破損しやすいけれども、炭酸飲料の性質を利用することで使えるようにしています。アルミ缶のメリットは大きく、企業が様々な改良を行って移行しようとしています。
やっぱり、こんなジャンルの記事は書いてて楽しいね。時間かかるし、量も多くなるけど……