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ハーバーボッシュ法 その1 〜人口爆発と農業〜

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いらっしゃいませ!
今日もいいもの用意しときましたよ!

 

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    僕の専攻している化学の話をしたいと思います。化学は日々の生活になくてはならないものをたくさん生み出しています。こうやって使っているスマートフォンも今こうやって住んでいる場所も乗り物も服も言い出せばキリがありません。多くの人にとってそれらはあまりにも身近なものであり、あって当然だとそう感じてしまいがちです。それらのほとんどは多くの研究者が長い時間をかけて作ったものばかりです。今日はそんなものの中でもきっと身近に思っているであろう食料に大きく関わった化学最大の発明の一つであるハーバーボッシュ法についてお話ししていければと思います。

 

(もう書き終わっているので先に言っておくと、このシリーズ、その6まで続く壮大なシリーズです。なので、投稿日に読んでもらってもいいですし、全部上がってから一気に読んでもらうのもいいかと思います。)

ハーバーボッシュ法とは

    ハーバーボッシュ法は高校化学ではこんなんもあるよ〜って感じでサラッと紹介される化学反応プロセスです。化学を履修してない人からすれば聞いたことないよ!という人がほとんどかと思います。本筋に入る前にどのようなものか簡単に説明させてもらいます。

    ハーバーボッシュ法は窒素水素を反応させてアンモニアという化合物を生成するというものです。

     ハーバーボッシュ法を発明したフリッツハーバーカールボッシュノーベル賞を受賞しています。ハーバーはこの反応を発見したことで受賞した、ボッシュはこの反応を起こす装置を作成したことで受賞しました。つまり、この反応で2つのノーベル賞が出ているということになります。それぐらい重要な反応なんです。だから、高校化学で出てきたりします。具体的にどのようにすごいかはここから話していきます。

 

産業革命と人口爆発

    18世紀後半からイギリスを中心に起きた産業革命以降、主にヨーロッパで人口は爆発的に増えていました。船での物流が良くなったことや工業製品などで穀物を今までよりも簡単に入手できるようになったことや医療の発展など様々なことが原因だと言われています。

    人口が爆発的に増加することは大きな問題を生みます。それは食料問題です。たしかに入手はしやすくなったものの、それでも追いつかないぐらい人口が急激に増加しました。それを補うために多くの農家が肥料などを使い生産力をあげますが、それでも追いつかないスピードです。このままでは多くの人が飢える。そんなときにこのハーバーボッシュ法が誕生しました。

 

肥料の歴史

    人類が農業を営み始めたのは紀元前8000年ごろ。そこから農業は少しずつ改良に改良を重ねていきました。様々な道具を生み出したことはもちろんのこと、肥料も改良されていきました。

    最も初期の肥料は焼畑でしょう。植物を焼いてそれを肥料にする。意識的ではないかもしれませんが、それが肥料の始まりではないかと言われています。そこから家畜のフンなどを肥料に使ったりと意識的に肥料を使うようになっていきます。

 そして、時代は進み余った魚などで肥料を作り、それが金銭と取引されるようになりました。金銭と取引されるほど重要なものになっていったということですね。と、ここまでは生物からの肥料がメインで使われてきましたが、自体は大きく変わります。1800年初頭、チリ硝石カリ鉱石といったものが肥料になるとわかり、ヨーロッパ全土に広がります。こうして1850年ごろ三大肥料が揃うことになります。

    三大肥料というのは窒素カリウムリン酸の3種類の肥料のことです。チリ硝石には窒素カリ鉱石にはカリウムが含まれています。現代でもこの3種類は肥料としてよく用いられています。ホームセンターなどで売られている肥料の裏面を見てもらうとすぐにわかるかと思います。この3種類の物質が植物をよりよく成長させる鍵となる成分というわけです。

 

危機の回避と新たな危機

    さて、こうして現代でも使われるような三大肥料が揃い、一気に農業は発展します。当時、すでにこのまま人口が増え続ければ飢える人が出てくると言われていましたが、肥料の発展により問題は解決します。

    しかし、問題はすぐに出てきました。肥料として使っていた鉱石は有限です。このままのペースで使えば当然枯渇します。特にチリ硝石に関しては19世紀のうちに枯渇すると予測されていました。せっかく人口増加に耐えうる農業が成立したのにそうした時代がもうすぐ終わるという危機に直面したわけです。

    このような危機に対してイギリスの化学会では空気中に存在する窒素を利用するしかないということを言い始めました。こうして、世界中の研究者が空気中の窒素を肥料にする方法を日々模索するに至りました。

 

次回予告

    今回はここまで。世界の化学者の目標が空気中の窒素から肥料を作ろうというものになり、多くの人々が研究を進めるようになりました。ただ、残念ながらそんな簡単に行くものではありませんでした。窒素の性質や成功しても再び出てくる問題。次回は空気中の窒素を手に入れるまで研究に迫ります。

 

次回はこちら!!

化学最大の発明 ハーバーボッシュ法 その2 〜植物の窒素利用〜 - じょんのかがく喫茶

参考文献に関しては最後にまとめて載せますので最後までお待ちを……